HOMEお知らせ日本古写経研究所令和6年度 第2回公開研究会

令和6年度 第2回公開研究会

日時

2024年11月9日(土)午後3時15~午後5時00分

会場

国際仏教学大学院大学 春日講堂
東京都文京区春日2-8-9
アクセス

発表者

赤塚祐道(本学科研費プロジェクト 特任研究員)
「平安時代の密教聖教―目録から見る聖教の受容―」

【発表要旨】

 準備中

山口弘江(駒澤大学 教授)
「最澄の請来目録をめぐる諸問題」

【発表要旨】

伝教大師最澄(766または767-822)は入唐還学僧として中国へ留学し、その成果物として数多くの文物を自国へ請来した。その目録は、中国天台宗の関係文献が列挙され台州で書写された書目の記録とされる「伝教大師将来台州録」(以下、「台州録」)と、密教関係の文献を主とする越州での蒐集記録とされる「伝教大師将来越州録」(以下、「越州録」)として今日知られている。

このうち比叡山延暦寺に真筆が残る「越州録」は、国宝に指定されていることもあり、仏教学のみならず書道史や印章の研究においても高い価値が認められている。一方で、織田信長の比叡山焼き討ちにより真蹟本が失われた「台州録」には、資料としての信頼性を揺るがすような問題点が少なくない。たとえば、文政4年(1821)に最澄の一千年遠忌に際して刊行された後、最澄の御廟である比叡山浄土院に永納されたという摸刻本(以下、浄土院版)は、どのようにして「越州録」と同様に最澄と中国の役人の筆致や遣唐使印などを再現しえたのかが判然としない。また、浄土院版およびそれを底本とする『伝教大師全集』および大正新脩大蔵経などの活字本には、錯簡とおぼしき箇所に加えて明らかな誤字も散見されるからである。

これらの疑惑を解明すべく、1942年に古川英俊師は「台州録」の復元を試み、一千百五十年遠忌にあたる1971年前後には、槐礼一郎氏が浄土院版で校本に用いられた東寺観智院本をはじめとする多くの写本の存在を報告していたが、その成果は学界に周知されることがなかったようである。こうした状況が続くなか、2011年に藤井淳氏は、最澄が請来した『三教不斉論』を研究する中で、承安元年(1171)書写の奥書を有する石山寺旧蔵の早稲田大学蔵本(以下、早稲田本)の存在を新たに紹介し、「台州録」「越州録」と呼称することの問題点を指摘したほか、「台州録」から「越州録」という順番が早稲田本では逆であることに注意を喚起するなど、最澄請来目録の研究に新たな視座を提示した。

これらの諸研究の驥尾に付し、発表者は近年、関係諸本の調査を進めている。本発表では、寛治5年(1091)の書写とされる青蓮院吉水蔵所蔵の『八家秘録』(重要文化財)所収本が錯簡のない現存するもっとも古い写本であり、東寺観智院本の祖本と見られること、またこれら古写本からみた刊本および活字本、とくに大正新脩大蔵経本の問題点や今後の研究の展望について論じることとしたい。

問い合わせ

*参加ご希望の方は、電話、ファックス、葉書または電子メールにて、

11月6日(水)までにお申し込み下さいますようお願い申し上げます

お申し込みはこちらへ

国際仏教学大学院大学 事務局
〒112-0003 東京都文京区春日2-8-9
電話 03-5981-5271
FAX 03-5981-5283
Email nihonkoshakyo14◆icabs.ac.jp(◆をアットマークに変えてください)

お知らせNews

月別
アーカイブArchive