国際仏教学大学院大学
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発表要旨

デレアヌ フロリン (国際仏教学大学院大学教授)


安世高の訳出経典と『安般守意經』金剛寺本について

千二百年以上も続いた仏典漢訳の歴史において、最初の訳者として名を残しているのは、パルティア出身の学僧、安世高(あんせいこう)(紀元2世紀中頃)である。安世高訳出の経典は、部派仏教(主として説一切有部系)のものであり、当時の西北インドの仏教を伝えている貴重な文献であるのみならず、中国の初期の仏教者にも少なからず影響を与えている。尚、当時の口語表現を取り入れた安世高訳の仏典は、中国語の歴史を物語る資料でもあり、言語学の観点からも注目されている。しかし、初の漢訳の試みだけあって、機械的な訳風や戸惑い、また誤解とも考えられる箇所もしばしば見られ、安世高の漢訳は非常に晦渋な文体を持っている。
それに加えて、長い歳月を経て伝承されてきたこれらの文献には、誤伝や文の乱れ等が頻繁に見られる。その中で、呼吸を対象とする瞑想法を伝えている『安般守意經』(あんぱんしゅいきょう)は極めて難解難読な経典として知られている。
最近、金剛寺にて、『安般守意經』の新しいテクストが発見され、これは従来伝えられてきたものとは非常に異なる。今回の発表では、『安般守意經』金剛寺本を中心に、安世高の訳経を考察してみたいと思う。


  
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