国際仏教学大学院大学
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     第1回公開研究会 発表要旨   
 

箕浦 尚美(国際仏教学大学院大学学術フロンティア研究員)


玄応撰『一切経音義』の日本現存古写本について

 玄応撰『一切経音義』は日本の古辞書にも大きな影響を与えているが、これまで知られている古写本は限られたものであった。善本として古くから知られているのは大治3年(1128)書写の法隆寺一切経本であり、それに石山寺一切経本を加えた影印が『古辞書音義集成』7~9(汲古書院、1980-81年)であるが、25巻全巻は揃わず、欠巻部分には同系統の高麗版が用いられてきた。しかし、実際には、金剛寺一切経や七寺一切経などの中にも多数の写本が残っており、それらも版本とは異なる古写経を受け継ぐ内容を持っている。発表では、まず、その本文系統を考察する。『玄応音義』は一切経に含まれる仏典でもあることから、その伝本系統は、一切経そのものの系統を考える手がかりにもなるだろう。
 また、『玄応音義』各巻の冒頭には、その巻に収録される経典の目録があるが、巻5や巻13などは、配列がひどく乱れている。乱れ具合は伝本によって異なるが、写本のみならず版本(高麗版系統)にも見られるものである。その乱れの原因からも、伝本間の問題を考察する。

  
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