平成22年度 第2回公開研究会
日時
平成22年11月13日(土) 午後3時~4時半
会場
発表者
中御門 敬教(知恩院浄土宗学研究所 研究員)
源信僧都と『普賢講作法』-原本・写本、書写問題を中心に-
【発表要旨】
日本浄土教に大きな影響を与えた『往生要集』の著者、源信僧都(942-1017)には、華厳浄土義の著作として『普賢講作法』がある。『往生要集』では「念仏の一門に依りて、いささか経論の要文を集む」と説くごとく「念仏往生」が目的とされる。その一方、『普賢講作法』では普賢十大願による「誓願往生」が強調される。本作は声明を伴う「講式」の原型を伝えており、仏教音楽史においても重要な位置にある。
さて今回の発表では『普賢講作法』に関する、現存最古と思われる坂本「西教寺写本」を中心に扱う。筆者は西教寺御当局のご協力を得て、二回にわたる重点的な調査を行うことができた。この写本調査結果に基づき、平安末期から院政期における、当時の学僧の聖教類書写問題について若干の指摘を行いたい。さらに、『普賢講作法』が西教寺に伝来した経緯、随心院に伝わる『普賢講作法』写本との関係、引用典籍の系統を日本古写経と比較した結果についても触れたい。
なお法然上人(1133-1212)による『逆修説法』の一部表現の原拠となる記述(還念本誓)も『普賢講作法』冒頭勧請文に確認できる。この用例は翻訳仏典には見られない。講式文化を特徴づける、日本的な勧請文の形態である。法然上人による比叡山での修学の一端を物語る資料としても、貴重である。本作は『二十五菩薩三昧式』と並び、比叡山横川における天台講式文化の一翼を担う著作であることが理解できよう。
堀 伸一郎(国際仏教学大学院大学附置国際仏教学研究所 専任研究員)
Sukhāvatīvyūhaネパール写本の識語について
【発表要旨】
Kotatsu Fujita, The Larger Sukhāvatīvyūha: Romanized Text of the Sanskrit Manuscripts from Nepal, Part II (Tokyo: Sankibo Press, 1993), pp. 1478-1479に掲載されるSukhāvatīvyūha梵文ネパール写本 K1の識語について、新たな解読結果を提示した上で、書体・表記法・言語・地名・寺院名・王名・筆写年代・筆写者・寄贈者・写本作成の経緯等を扱う。
言語はサンスクリットとネワール語が混在している。筆写者はAmṛtānandaである。筆写完了日は西暦1798年1月13日に換算できる。本識語の最大の特徴は写本作成の目的のみならずその経緯を詳しく記した点にある。
このようにネパール写本の識語には様々な情報が含まれていることが少なくない。そのような情報をデータベース化した場合の有用性を明らかにしたい。
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国際仏教学大学院大学 事務局〒112-0003 東京都文京区春日2-8-9
電話 03-5981-5271
FAX 03-5981-5283
Email nihonkoshakyo14◆icabs.ac.jp(◆をアットマークに変えてください)
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