HOMEお知らせ日本古写経研究所平成28年度 第1回公開研究会

平成28年度 第1回公開研究会

日時

2016年5月7日(土)午後3時~午後4時30分

会場

国際仏教学大学院大学 春日講堂
東京都文京区春日2-8-9
アクセス

発表者

新田 優(本学 学生)
敦煌本『提謂波利経』諸本の関係

【発表要旨】

本発表において検討対象とする『提謂波利経』は、劉宋孝武年間(四五三~四六四年)、北魏沙門曇靖により撰述された疑経(中国撰述経典)である。疑経であるため刊本大蔵経に収録されず、その本文は散逸したとされてきたが、一九六四年から一九七三年にかけて牧田諦亮氏が敦煌本『提謂波利経』断簡四本(上巻P.3732、下巻S.2051・Дx.1657・BD.3715)を紹介された。ただし牧田氏は四本全てを実見されたわけではなく、一部は写真や目録によるものであり、そのため四本の関係については言及されていない。
『提謂波利経』研究の一次資料である断簡四本の関係の検討は重要な課題であり、現在の敦煌本の公開状況(影印出版、web)はその検討を可能にする環境でありながら、牧田氏以降の『提謂波利経』研究のいずれもが依然テキストについては牧田氏の成果に依拠している。
本発表はこのような『提謂波利経』テキスト研究の現状を反省し、断簡四本の画像を用いて書誌学的検討を行うものである。
その結果、内容の連続によりДx.1657とBD.3715とが一連の断簡であること、さらに形態・字体の酷似から[Дx.1657+BD.3715]とP.3732が同一人物による書写である可能性を指摘した。この検討結果より、P.3732と[Дx.1657+BD.3715]は本来一具の『提謂波利経』巻上、巻下の断簡であり、S.2051は[Дx.1657+BD.3715]の欠損を補填するものと位置付けられる。

玄 幸子(関西大学 教授)
調査ノートから見る内藤湖南の敦煌学

【発表要旨】

関西大学図書館内藤文庫には湖南欧州調査ノート全13冊が収蔵される。狩野直喜、羽田亨、矢吹慶輝に続き、大正2年(1916)59歳にしてようやく念願の欧州行を果たした湖南が、長男乾吉、鴛淵一、石濱純太郎の3人とともに敦煌文書を精力的に調査した記録である。とりわけフランスにおける調査は量質ともに大きな成果を得たようであり、現在の調査結果に基づけば、このノートには、ぺリオ邸355点強、フランス国立図書館275点(26,47,50,47,61,44)の合計630点余りが記録されている。これは湖南自身が「欧州にて見たる東洋学資料」の中で述べる670部に満たないため、ノートの一部が欠けている可能性は否めないが、しかしながらいうまでもなく、これまで明確にしえなかった湖南の調査の実態を明らかにしうる貴重な資料である。これらの資料は今年度末に影印出版する予定であるが、公開に先立ち、資料整理の段階で気づいたいくつかの点について検討の上、報告する。

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お申し込みはこちらへ

国際仏教学大学院大学 事務局
〒112-0003 東京都文京区春日2-8-9
電話 03-5981-5271
FAX 03-5981-5283
Email nihonkoshakyo14◆icabs.ac.jp(◆をアットマークに変えてください)

 

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